
『逃げるは恥だが役に立つ』がNETFLIXで放送されている。初めて観たときに衝撃的だったのが、第1話から2人が互いにまっすぐ向き合って、対話をすることだ。「正対する」これが本当に難しい。世の中、正対しないで良いという風潮が高まっていると思う。夫婦の会話でも、先生と子供たちの会話も、親と子の会話も、都合の悪いことや面倒くさいことは、適当にごまかしたり、主旨と違うことを言い続けたり、黙り込んで黙秘権を行使したりすることで、相手に無力感を学習させる。いわゆる、心理学用語の「学習性無力感」
親も教師も夫婦でも、正対して話すことを強要すると、それだけで虐待やハラスメントと言われかねない世の中だ。本当のコミュニケーション上手というのは、正対するやり取りができる人のことだ。正対するやり取りとは、誠実に生きている人間にしかできない。
例えば平気で嘘をつく人は、嘘をついて、そのことについて矛盾を指摘されたり、問い詰められたりしたときには、それは嘘ではなくて、間違えただけ。勘違いしただけ。取るに足らないことだと言い張ったりする。そのまま、嘘を認めず、謝ることもなく、「もう終わったことは忘れよう」と言う。非を認めないから痛みを知らず、また嘘を繰り返す。
「私はさっぱりしているのに、あなたネチネチうるさいわね」と自分の非は認めず、相手を非難する。この自称さっぱり人間は決してコミュニケーション上手とは言えない。だが、今の世の中、真剣に対話する人の方が少なく「自分もそんな会話しかしないからな」と感じている人が多いので、追求する人は、こだわりの人、変わり者、喧嘩ばかりしている人になりがちで、心理学を学んできた新垣結衣さん演じるみくりが「私は結構嫌われますよ」というシーンでは「わかる」と全力で頷いてしまう。
星野源さん演じる平匡は、恋愛経験は少ないことも含めて、何事にも正対してくれる人で、結婚相手としてはものすごく理想的であることは第一話から、いくらでも窺える。
・対話してくれるところ ・指示が的確でわかりやすく共感できるところ 網戸の掃除に気づいてくれるところ ・何事もググって客観性を大事にするところ ・自らは京都大学出身の優秀さで就職に苦労したことがないにもかかわらず、就職全敗の辛さを解ってくれるやさしさ 突飛もない提案を嘲笑せず、相手の提案をまるで自分の提案として、具体的にその価値を試算できること などなど
挙げたら、きりがないほど、理想的。彼の人間性を見本にすると、特に男の子の育児に必要な婚活とは何かが見えてきそう。