子供のころから運動能力が抜群に優れていて、学生時代にはヒーロー的存在だった人でも、ほとんどはプロになることはできない。そんな人達が、教員になることは学校のあるある。スポーツに限らず、その道のプロになりそこねた方々は、だいたい中学高校の体育科の先生として、就職するが、ときどき、小学生に教えたいと希望する方もいる。そんな先生方は、専科教員になって、小学校全科を担任として持つのではなく、体育だけを教えている。

ケイ先生のようにずっとスポーツ万能人間として生きてくると、身体は人並み以上にじょうぶだと信じているから、結婚したら妊娠出産は思った通りにかなえられていくのが当たり前だと考えている人が多い。しかし、スポーツ選手は大抵中高生時代に身体を酷使するので、不妊に悩むことが意外だけれどけっこう多いのだ。

体を鍛えれば不妊になどなるわけないと思っていた。年を取るほど卵子も年を取りやすく、妊娠もしにくく、そこには個人差もあるなんて知らなかった。結婚してからその後の人生を左右する大切なことだが、学校ではそんなこと全く教えてくれなかった。そんな想いの氷河期世代は、たくさんいると思う。

だいたい、氷河期時代の私達は、結婚することがこんなに困難な時代になるとは思ってもみなかった。自分達が子供のころは、多くの大人が当たり前のように結婚していた。青春時代は恋愛価値至上時代。恋に焦がれる中高生時代のトレンディドラマは、くっついたり離れたり、疲れるほどの恋愛の混乱ぶりが描かれていた。

適齢期になれば恋愛してなくても、どんなにボーっと生きていても、見合い話が次から次へと来て、周りからの圧力で結婚することになるのだろうとのんきに考え、婚活なんて言葉が流行りだしたときにはすでにアラサー、あの時代の適齢期の中では高齢気味。

青春時代はイケイケの高度経済成長期だったのに、いざ就職時には、バブルがはじけ、就職も結婚も、予期せぬほどの困難時代に突入していく。

氷河期時代の私達って、本当にレジリエンス(折れないしなやかな心)がないと、生き抜いてこられなかったの。